日: 2018/10/18
純情動物園全貌
木彫の等身大の馬は今回のパートナー、望月鮎佳さんの作品です。乗馬もこなす望月さんは馬にはなみなみならぬ思い入れがあるようです。
等身大の牛はやはりデカい。私も牛描こうかなと思ったりしますが、牛を見るとそのデカさに、躊躇してしまいます。
こうした小物は岐阜アートフォーラムの皆さんの手で作られています。
正面入り口を入ると私の羊と望月さんの山羊が迎えます。背景には岐阜市のシンボル的な金華山と長良川。メビウスの輪のダンボールで悠久の流れです。
水面を模した鏡を配置しています。その水面を覗くと、水の底には怪しげな生き物が。
実はこれは私の作品ではなく、恩師で岐阜市在住の画家、佐藤昌宏先生の作品です。昨年から常設展示されています。弟子の特権?で借景させていただきました。木彫の山羊ももちろん等身大です。現在26歳の望月さんが中学生の頃、私の教室で油絵を描いておりました。その後彫刻の道に進んでいきました。私的には子弟三代の競演ということで感慨深いです。
受付では私の画集とカンパの缶バッジ、カンパッジを販売しております。今回の展覧会に合わせての新たな試みです。岐阜アートフォーラムにゆかりの作家の缶バッジです。カンパッジの命名も。。多くの来場者の皆様にご協力いただきました。大銀杏のぎんなん100円も人気です。
会場を進むと大きなロケットが目に入ります。これは月にいったアポロ計画のサターンロケットの絵ですが絵画部分で8メートルあります。そしてこれは掛け軸の一大産地である岐阜の軸装職人の手によって掛け軸に仕立ててあります。芸事はお金がかかりますね。
ロケットの先端には山羊がおります。高いところを好む山羊の習性と人類が最も高いところへ行った月ロケットを組み合わせました。
今回のチラシにつかった色柄物の羊、油彩です。
住職の小笠原さんのお誘いで女優の真野響子さんにも来場いただきました。私がしているマフラーはこの絵の柄の大元になった丹下さんの作品です。
上質なレースの上にウサギがいます。油彩です。
羊と馬の小品も展示。
望月さんの木彫で牛の頭部です。一見ハードめなイメージですが可愛い顔しています。この部屋の縁側では写動物の体験ができます。写経のごとく心穏やかに動物をトレースします。上宮寺のご本尊の阿弥陀様の写仏もあります。用意した袋の残りから推定すると400人近くの方に体験していただきました。
今回の展覧会の企画にあたって、一番の課題は、体験型ワークショップを組み込むことでした。岐阜アートフォーラムの方針として外せないものなのですが、私は作品展示意外に興味がないもので。お寺で体験できるという原点に戻り、写経をヒントにした写仏・写動物というアイデアに至りました。
判子も私やアートフォーラム作家の手作りです。写動物は今回の展覧会の大きな目玉となり、私自身、非常に驚いております。
外の縁側に出ると力士が迎えます。石膏着色像です。人間も動物ということで、、なにより頭には大銀杏。
渡り廊下から書院にはいると子豚がいます。望月さんの最新作です。人気でした。
障子戸から室内へ。この部屋好きです。
この展覧会のためにしつらえた掛け軸です。洋画の額装をイメージした軸装をしてあります。モチーフは私の定番の野菜とウサギです。西洋風の額をイメージしたメタリックな軸にないっています。
二連額のオカメインコです。
和尚様の座布団を思わせる布製の額縁におさまった山羊。同じ生地でティッシュカバーも自作いたしました。リビング感を出したかったのです。
茶室へ続く廊下から中が見えます。なんかいますね。
茶室に入ると、水色の障子。
イワシのトルネードです。中から光らせて、そして回転しています。魚群を描くのはたいへん骨がおれる作業でした。皆さんこれを見た瞬間に声が漏れます。おっ、とか、うわ、とか。苦労した絵画、甲斐が、ありました。
クライマックスの本堂へ
望月さんの木彫のロバが迎えます。これ、お寺に合いすぎですね。
金色をモチーフにした羊です。角は東京タワーのお土産屋さんで買った金色の東京タワー。額からは光を模した竹ひごが伸びています。
山羊の方には東京タワーのお土産屋さんの五重塔。このお寺のシンボルの銀杏の葉も。
最後はトリケラトプス風のブタです。イーゼルを金色にしてあります。金色の祭壇には阿弥陀様がいらっしゃいます。
イーゼルを金色にする作業や写動物の透明作業台など、岐阜アートフォーラムのメンバーの手によって実現できました。一人では難しいことが実現できるのも強みですね。
これで会場を一周いたしました。
野田聖子さんにもご来場いただきました。アメリカの農場で牛の乳搾りのアルバイトをされていたとか。
今回の展覧会は岐阜アートフォーラムにとっても私にとっても予想できない集客でした。私も望月さんにも良いステップとなりました。今までここ上宮寺ではいろいろな展覧会があり、作家がそれぞれ工夫を凝らして展示してきました。私はその後出しジャンケンということで、今までのその蓄積を利用させていただけました。同時にプレッシャーもありました。いまは荷物を降ろした思いです。片づけ、終わってませんが。多くの皆様に感謝したします。(文・奥村晃史)